南紀ローカル通信

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アトラクションか哲学か?映画『デビルクエスト』

こんにちは、「南紀ローカル通信」の枯木屋ユージンです

 

今回は、ドミニク・セナ監督の映画『デビルクエスト』のレビューです

 

公開:2011年(アメリカ合衆国)95分

監督:ドミニク・セナ

脚本:ブラギ・シャット・Jr.

出演:ニコラス・ケイジ(ベイメン)、ロン・パールマン(フェルソン)、クレア・フォイ(アナ)

 

出典:Enrique Meseguer Pixabay

飽きさせない展開で面白い

 

 新型コロナウイルス

が日本にも広がりだした時期、この映画がアマゾンプライムで配信されていたので、「中世ヨーロッパが舞台の黒死病がテーマの映画」くらいの想像はしていました。 

まったくどんな映画なのか分からずに観たと言えます。 

結果、それが良かったのか、なかなか楽しめる映画でした。 

 

冒頭、裁判で魔女とされてしまった女性たちの、絞首刑シーンから始まります。 

エンターテインメント系の作品といえども、こういった場面はキツイですね。

 

これは重い歴史物かと思っていたら、なんと魔女が生き返り、死刑執行人の神父を物凄いパワーで殺してしまうのです。 

あれあれ、オカルト物だったのか?

 

それから約100年後

十字軍の騎士(ベイメン)と(フェルソン)の物語に変わります。

 

二人はいくら信仰やカトリック教会の為であっても、異教徒の罪なき人々を殺戮することに疑問を抱き、十字軍を脱走します。 

この疑問はメイベルとフェルソンだけではなく、映画を観ている私たち誰もが感じる疑問です。

 

当時の人間の感性も解らないし、歴史的な宗教の流れも私には知識がない。 

もしかしたら、この映画を最後まで観たら、少しは答えを用意してくれているのだろうか? 

期待がグッとたかまり、すっかり冒頭のオカルトシーンを忘れていました。 

 

その後ふたりは旅先の町で、教会の最高責任者に重大な頼み事をされます。 

魔女で黒死病を広めた疑いのある少女(アナ)を、(セヴラック修道院)まで護送して欲しい。

何故なら、セヴラック修道院には聖典(ソロモンの書)があり、その力によって黒死病を抑止できると。

 

困難きわまりない役目ですが、メイベルはアナが本当に魔女なのかどうか、セヴラック修道院で正当な裁きがなされることを条件に、護送を引き受けます。 

 

かくしてメイベルとフェルソン、神父や道案内人など、計6人とアナの旅が始まりました。 

さぁ、どうなるんだろうか?

 

旅の途中

護送者たちは、魔女アナとの心理戦状態に引きずり込まれてしまい、これによって護送者同士も疑心暗鬼となり、かく乱されていくのです。 

アナはやっぱり魔女なのか?

 

心理戦というより、哲学的とすら感じるやり取りさえあって興味深い。 

このあたりは、観る方も何か無意識に、哲学させられてしまっていました。 

 

旅の最大の難所(苦悩の森)の風景がどこまでが実写かCGか分からないけど美しく、魔女アナも得体が知れず美しい。 

 

狼の群れと戦うシーンや、崩れそうな吊橋を、アナを監禁してある馬車が渡れるのか渡れないのか?というベタな見せ場も面白い。

いやベタだからこそ面白い。

 

さて、一行がセヴラック修道院へ到着して、どんなクライマックスとなるのか?

身構えて観ていると、あれ?この映画、結局エクソシスト方向なのかと思わせるくだりがあって、でもそれもまた違い、最後は「デビルクエスト」の題名そのままとなる運びです。

 

出典:Dean Moriarty Pixabay

 

その最後とは

USJ】のアトラクションを思わせるようなアクションシーンが繰り広げられます。 

おいおい、哲学まで感じさせておいてラストはUSJ! 

 

それでも私は、これはこれでいいのではないかと思って観ていました。 

またもや、思った展開ではなかったからなのでしょう。 

 

歴史、心理戦、哲学、オカルト、USJなどなど、よくまぁ95分の中にこれだけのものを詰め込んでくれたと感心します。

 

なかなか知的なUSJだ! 面白かった。

 

レビューは以上です。

 

 ではまた、次の記事でお会いしましょう 

 

2021年9月5日 記