南紀ローカル通信

スキューバダイビングやキャンプ、映画や本などについて綴っています

ダイバーは船酔いを克服しなければならない

こんにちは、「南紀ローカル通信」の枯木屋ユージンです

 

ボートダイビングをした事がある人は、多かれ少なかれ船酔いを経験された事があるのではないでしょうか? さて、どうやって克服しているのでしょう?

 

私が船酔いを克服した経緯

今回は【私が船酔いを克服した経緯】についてお話ししてみようと思います。

おそらく絶対にこれといった解決策はないのでしょうが。

 

私がダイビングを始めた頃、乗船時間が短くポイントまでの距離が近く、揺れが小さかったりしても、気分が悪くなっていました。

静かな海で大きなフェリーに乗っても、微妙に船酔いっぽくなる事もあります。

 

陸も見えない群青の海上にいることには、喜びだけでなく相当な緊張感が伴いました。それにダイビングをすること自体に、まだまだ恐怖心を持っていましたからね。

そこへ毎回船酔いです。ギブアップするほどの気持ち悪さではないのでそのままエントリーします。

そうすると船酔いと緊張でまるまる一本息苦しいダイビングとなっていたのです。

 

そんなボートダイビングを何回繰り返したでしょうか。 

 

それがある日からピタッと船酔いしなくなったのです

199△年頃

初めてのナイトダイビングを沖縄の慶良間諸島で済ませ、ボートで那覇へ戻り始めました。

月明りで島影と空の境界が辛うじて識別できていて、そろそろ外海へ出るなと思う辺りからボートが揺れ始めたのです。

 

この日の朝、那覇から慶良間に来る途中はあまり揺れたという印象はなかったのですが、季節風と言うやつでしょうか。それからあれよあれよという間に凄い揺れになりました。

 

このボートの大きさがどれほどの物か、私にはよく分かりませんが、那覇のマリーナに停泊してある、他のダイビングボートと比べても大きくもなく小さくもありません。この時は8名ほど乗っていましたが、12名位は問題なく乗船できるでしょう。

 

乗船していた人の半数は初めはデッキにいましたが、船室に逃げ込み、私とガイドの一人は狭苦しくて中に入りませんでした。

せめてもと、天幕のある入り口に座り込み手摺を強く握って、これからの波に備えます。

 

出典:Jeremy Bishop Unsplash

ますます揺れは強くなり、波の天辺から底まで真っさかさまに落ちるみたいで、その時、体がふわっと浮き上がる感じです。

ジェットコースターが下りに差しかかると全身に力が入りますね。あれと同じですが、波を被り続けるし、ドッスンと波底まで落ちると尾骶骨が凄く痛い。

 

海の素人でも、これはヤバイんではないかと思って「この荒れ具合、大丈夫なんですか?」と、ガイドに聞くと「大丈夫、大丈夫」と笑って答えます。

「たまにはあるくらいの揺れ?」

「そう、そうですね」

危険な状況ですとは、言えるはずもありません。

 

夜の闇で殆ど海が見えていなかったのですが、どれくらいの高さの波が立っているのか、どうしても確認したくなりました。

 

タイミングを図って尾骶骨を思いっきり打った時、斜め上を見上げてみました。

すると月光に黒く映し出された波の頂点が見えたのです。

それは波の底にいる自分からは、平屋建て住宅の屋根の高さを十分に超えているように感じられました。ゾッとした瞬間。

恐怖心の為にそう感じたのでしょうか。

 

その後しばらくして、操縦している船長が漏らした言葉を今でもはっきりと覚えています。

「俺は真剣だよ」

ほらやっぱり、全然大丈夫ちがうやん。

 

誰もかれもが黙りこくっています。

 

私は考えました。もしこの海に投げ出されたらと。

救助が来るまで、このうねりに耐えていられるのだろうか?

ダイビングが終わって、乾いた服にサッサと着替えれば良かったのですが、私は邪魔くさがり屋なので、ウェットスーツのままでいたのです。

体が芯から冷えているけれど、この事態となってはウェットスーツで良かったと思いました。

 

慶良間を出てどれくらいの時間が経ったのでしょう。このうねりで船がなかなか進みません。普段ならとっくに那覇のホテルへ戻っているはなのに。

 

そうやって耐え続けていると、突然ボートの揺れが収まりました。本当に突然と表現したいほどの差があります。那覇マリーナの防波堤内に無事入港したのです。

その時、室外からでも船長が息を吐きながら脱力したのをありありと感じました。

 

     出典:DO QUANG HUY Unsplash

着岸して、何故か誰もが無駄口をいっさい叩かず、黙々とタンクや機材を下ろし始めたのがとても印象的でした。

 

さて、ここまで読み進めてくださった方、この記事は船酔いの話しだった事を覚えているでしょうか?

とても船酔いがどうのこうのと、贅沢を言っている状況ではなかったのです。

 

この時から全く船酔いをしなくなりました。なんなら多少の荒れた海に出て一時間くらい読書したって平気です。

そういう意味では有り難い体験でした。

それにしても荒療治だ。何事もなくて本当に良かった。

 

船酔い対策は、酔うと分かっていても結局は海に出るしかないのでしょうね。

 

今、船酔いに苦しめられているあなた!

いつかは慣れる・・・と、思います。

諦めずに頑張ってください。

 

ではまた、次の記事でお会いしましょう

 

2022年7月2日 記