こんにちは、「南紀ローカル通信」の枯木屋ユージンです
今回は、田舎暮らしについてお話ししたいと思います
住みたいところで暮らしたい
そもそも人は、どうして今その場所で暮らしているのでしょうか?
単純な疑問です。
殆どの人は、「生まれ育った場所だから」「仕事の都合上」「結婚相手の所へ引っ越した」などの理由だと思います。
そうではなく【自分は暮らしたい所で暮らしたい】となると、大きな自然の流れに逆らうことになり、大変なエネルギーを消費することになるでしょう。
それに何より、そんな事を上回る動機がなくてはなりません。
私の近しい知り合いには、そんな人はいませんでした。
でも今のコロナ鍋の時代になり、リモートワークなどで、田舎へ移住することは以前よりハードルが大きく下がっているように感じます。
技術的にもですが、何より人々の意識が変化したのではないでしょうか。
これは個人的には、大変良いことだと思います。
コロナウイルスの副産物だと。
では、そう言う私は、大阪からこの和歌山の白浜町に移住する時、どれほどの覚悟があったのか?
振り返ると、衝動と勢いだけが先走っていたように思います。
ただ、それから先の生活を考えると、幾つかの不安はありました。
現時点で表面化していなくても、拭い切れない不安。
引っ越す理由と不安の幾つかは、大阪にいたとしても同じ事柄もあって(考えすぎても仕方がない問題)と考え、思い切って引っ越したのです。
当時の私の不安は、これから田舎暮らしをしようと考えている人にも当てはまる事があるはずなので、ざっくりとですが説明してみたいと思います。
ただ、参考になったとしても、解決策にはなりません。
まず、なんと言っても動機です
漠然と田舎で暮らしたいなどと思っただけなら、やり切ることは出来ません。
私の場合は(コンディションが良ければ、すぐに海に行って遊べるように)でした。
何日も前から、旅行の計画を立てて南紀や沖縄へ行ったのに、天気は大荒れだったなんてことが、誰でもあります。でも、海のそばに住んでいたら解決するのです。
次は、収入をどうするかです
お金があって働かなくてもいい人や、年金で何とかやっていける人なら、ただ好きなところへ移住すればいいだけのことです。
当時はテキスタイルデザインの仕事を自営業でしていて、メインの得意先は大阪にある企業でした。
仮に、沖縄まで引っ越してしまうと遠すぎて、発注はして貰えないでしょう。
白浜なら、緊急の時は車でも特急でも行けるし、絵は宅急便で送れば翌日届けられます。何とかなるだろうと思いました。
しかし約15年続けたこの仕事は、引っ越して数年後、行き詰まってしまいました。
業界は明らかに大不況に陥ってしまったのです。
同業者の中には、連絡が取れなくなってしまった人もいます。
ここからが、さぁ大変でした
仕事の少ない田舎では、いくら就職活動しても、何の資格も取柄もない中年男を雇ってくれるところがありません。
殆どの求人は年齢35歳までだった。
しまいには、求人募集していない企業にまで電話してみました。
子供が生まれるし、ローンがまるまる残っている家は放棄できないし。
このあたりの事情が、どこかで予測していた不安です。
100パーセント的中してしまった。
ローンも払えなくなって、ダイビングどころではありません。
その次は住居です
大阪では、何年も我慢してボロボロの古いアパートに住んでいたので、中途半端な小奇麗なマンションとかに引っ越す考えはありませんでした。
自宅に仕事場が欲しい。自宅でプロジェクターの大画面で映画を観る部屋が欲しい。
そんなことを満たしてくれる中古物件が白浜で見つからない。
大阪に住み続けるにしろ、どこかに引っ越さなければなりません。
賃貸にしても、毎月家賃を払うならローンを支払うのも同じだし。
それならいっその事と思い、白浜に新築一戸建てを建ててしまった訳です。
これを読むと「田舎への移住はこんなに大変ですよ」と言っているように思われるでしょうが、そうではありません。
趣味のためであれ道楽であれ、(収入さえ何とかなれば好きな所に住めばいいのだ)という結論に至ります。
私のケースは私だけに当てはまるケースというだけで、移住した先で収入さえ確保できれば良いのです。
「住む所は、人の意識の中でもっと自由であっていいのだ」と、自分が移住してみて初めて気付きました。
紆余曲折はありましたが、移住してから30年ほどになります。
今この文章を書いているのは、その白浜の自宅です。
結果論かもしれませんが、移住して本当に良かったなと感じています。
なんとか頑張れて、なんとか生活していますから。
アッ、それで自分が育った大阪ですが、
やっぱり白浜にも沖縄にも負けないくらい好きなところです。
大阪を出てみるとよく分かる。
いま帰ると、建物や道路があまりにも変化していて、迷子になってしまいます。
これからもブログでは、移住してからのお話しをしていきたいと思っています。
なんせ『南紀ローカル通信』なので。
どうでしょうか? 田舎暮らしを考えている方が少しでもポジティブな気持ちになれば、この記事を書いた甲斐があるというものです。
ただくれぐれも、収入確保の準備がしっかり出来てからにしてください。
あまりにも分かり切った話で、申し訳ない。
ではまた、次の記事でお会いしましょう
2022年5月3日 記