こんにちは、「南紀ローカル通信」の枯木屋ユージンです
今回の、本の紹介は『集中講義、織田信長』です
2006年 出版
小和田哲男 著
生涯をかけて中世の矛盾と戦った武将
歴史にあまり興味がない方であっても、織田信長は別格ではないでしょうか。
英雄と殺戮者を同義語にしてしまったような人物。
小説や映画、テレビでも信長はよく登場しますが、本当にどんな人物だったのか、いまいちピンときません。
だったらそれは「信長だけではないだろう」と言われそうですが、信長が特別に興味深い人物だからでしょう。
ドラマの信長なんて、ただ怖そうに偉そうにしているだけだったりして、頭をかしげてしまう。
そんなことを思い続けていたら、偶然この本を手にしました。
そうか、初めからこっちに意識を向けていれば良かったのか。
とは言うものの、これほど解かりやすく、私が漠然と探していたものにマッチする書籍が他にあったのかは疑問です。
ブックカバーの裏に書かれてある、内容紹介のキーワードとなりそうなものを、そのまま引用して記しておきましょう。
「桶狭間の合戦、楽市楽座、抜擢人事、兵農分離、天皇対策、比叡山焼き討ち、宗教観、本能寺の変・・・」
これを見ると、なんだ、退屈でよく意味が解らなかった歴史の授業と同じだと思われるでしょう。
しかしこの本を読むと、キーワードの響きが、中学生の頃の自分と今とでは、まるっきり違って聴こえます。
信長が何を考え、何の為に何をしたのか。
このキーワードを理解するだけで、信長の人間像が立体的に浮かび上がってくるのです。
革命家だし、政治家だし、アートディレクターでもある多面的な人物。
それにその残虐性から、情性欠如型人格障害とも言われているし、とにかく興味深い人物です。
この本を読んでからの信長感を
「本人の性格が矛盾を多く含んでいたとしても、生涯をかけて中世の矛盾と戦った武将」
そんなイメージでしょうか。
【事実は小説より奇なり】
という言葉がありますね。真の歴史の面白さはどうもそこにあるようです。
たとえば映画やドラマでは桶狭間の戦いの前、信長は清洲城で『敦盛』という能を舞って出陣するシーンが有名です。
これはカッコ良すぎるので、後々の創作だろうと私は勝手に解釈していました。
しかし、同じ小和田哲男氏の著書『戦史ドキュメント 桶狭間の闘い』という本を読むと、信長は桶狭間の出陣の際、本当に敦盛を舞っています。
しかも、三度続けて。
あれ、事実ではあったけど三度。
こうなると、颯爽とカッコ良くとはまた意味合いが違ってくる訳で、益々もって興味が湧いてきます。どう言う事だろうか?
この話を知り合いの高校生にすると、ものすごく面白がっていました。
やっぱり、事実は小説より奇なり
ではまた、次の記事でお会いしましょう
2022年3月26日 記